タイムスタディ、標準時間の重要性を考える : タイムスタディはどの会社でも行っているが・・・
第2回 タイムスタディ、標準時間の重要性を考える
タイムスタディはどの会社でも行っているが・・・
第2回からはIEの代表的な手法や言葉について
その意味や活用方法について、事例を交えて解説します。
今回のテーマは「タイムスタディ」と「標準時間」です。
タイムスタディとは現場の作業者がある作業を行うのに
どれだけの時間がかかっているのか測定する分析手法です。
数多くの企業の方にタイムスタディをしたことがあるか、
あるいは、タイムスタディを知っているかと質問すると、
ほとんどの方が知っている、行ったことがあると回答します。
しかし、タイムスタディの正しい方法を実践している人は
意外と少ないようです。
対象となる作業をどのように定義するか、
あるいは誰を対象に時間を観測するか、
その観測結果をどのように整理するか、
など正しい結果を導くためには、
正しい方法を理解することが重要です。
タイムスタディを行った時のよくある失敗例として、
「測定するたびに作業手順が変わり、結果が整理できなかった」
「測定はやってみたが、細かく再測定しないと改善に活用できなかった」など
測定前の準備が不足しているために、
再測定をしなければいけないということがあります。
分析前には必ず分析の目的、その目的に合う分析の対象や
分析の細かさを決める必要があります。
この分析前の準備を行うには、
この分析はどのような目的に使えるのか(一つではありません)、
対象をどのように決めればよいのか、
分析の細かさにはどのような種類があるのか、など
その活用のポイントを理解したうえで、分析目的を決定し、
分析することが大切なのです。
またタイムスタディの結果が出た時に、
「何度か繰り返し測定したため、どれが正しい値かわからない」
「観測時は特別な状況だったので、観測結果は正しいものではない」
「あの人は特別な人だから、その結果は全員に当てはまるわけではない」など
出た結果の正しさを説明するのに苦労するケースもあり、
結果の正確性を主張するのも難しいことだと予想します。
結果の正確性を主張する一つの方法は、
正しい方法で行った上で得られた結果だということです。
分析結果の整理では、作業手順を決めることと
個々の作業時間を決めることになります。
測定した時に毎回違った手順で行われた作業を
一つの手順に決めること(手順のモデル化)、
毎回違う作業時間を一つの作業時間に決定すること(代表値の決定)、
この2つの方法を知っておくことが分析結果の
正確性を主張する材料になるのです。
少し難しい印象を持たれたかもしれませんが、
タイムスタディを行うと、現状の作業手順や組み合わせ、
その作業時間が明確になります。
この結果を用いて、現在の作業手順が最も効率的なのか、
改善により時間を短縮できるのかなど検討することが可能になります。
また、この測定結果から作業の標準時間を
決めることも可能になります。
このような意味では、タイムスタディは生産現場には
必要不可欠な分析手法であり、ほとんどすべての企業で
活用されなければいけない分析手法です。
最後になりますが、タイムスタディは仕事の定量化の
基本となる分析手法です。
具体的には工程分析やライン作業分析、連合作業分析など
その他のIE分析手法を使うためにも必要な分析手法なのです。
(株)日本能率協会コンサルティング
角田 賢司
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